膜構造建築物は、屋根や外壁に膜材料を用いた建築物で建築分野における新しい技術です。

膜材料等認定品マップ

丈夫な膜材料

膜構造建築物に使用可能な膜材料は、基布、コーティング材、用途で4種類(A種、B種、C種、テント倉庫用)に大別されます。また、平成29年(2017年)から、高い耐候性と透明性を有する膜構造用フィルム(基布がない、樹脂製のフィルム)も、膜構造建築物に使用が可能となりました。

昭和63年(1988年)に誕生した東京ドームの屋根に使用されている四フッ化エチレン樹脂をコーティングしたガラス繊維膜(A種)は、30年が経過した現在でも十分な機能と強度を保持しています。

呼称 A種 B種 C種 テント倉庫用 膜構造用フィルム
基布 ガラス繊維 合成繊維 合成繊維
ガラス繊維
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コーティング材 四フッ化エチレン樹脂など フッ素樹脂、塩ビ樹脂など ETFE樹脂※1
重さ 0.55kg/㎡以上 0.5kg/㎡以上 0.4kg/㎡以上 0.175 kg/㎡以上
厚さ 0.50mm以上 0.45mm以上 0.1mm以上
耐候性 A種・膜構造用フィルム>B種>C種>テント倉庫用※2
防火性能 不燃材料 防炎材料※4※5
接合加工 専用設備と高い加工技術が必要 小規模の設備で加工でき扱いやすい 専用設備と高い加工技術が必要
施工性 ガラス繊維が使われているため、折り曲げないよう注意が必要 取扱いしやすい 薄く、傷つきやすいので取扱いには注意が必要
色彩 ※6 自由に色が付けられる 透明(着色可)

※1 ETFE樹脂:Ethylene Tetra Fluoro Ethylene (エチレン-四フッ化エチレン共重合樹脂)
※2 耐久性は、立地条件等に大きく左右されますので、一応の目安とお考え下さい。
※3 B種膜材料には準不燃材料、防炎材料のものもあります。
※4 防炎材料:JIS A1322に規定される防炎2級以上の性能を有する材料
※5 テント倉庫用膜材料のうち、ガラス繊維を基布としたものには不燃材料もあります。
※6 A種膜材料は、施工当初は褐色ですが、3か月程度で漂白され白色になります。

膜構造の特徴

軽量で高強度である膜材料は、屋根全体を軽やかに覆う膜屋根や、外壁の日射調整装置、疵による大きな日除けなど大面積への適用に適しています。とりわけ白色系の膜は光線反射率が高いため、屋外では太陽光を反射してヒートアイランド緩和に貢献し、屋内では間接照明の反射面として天井面全体を適度に明るくすることが可能です。また、膜材料の適度な光線透過性は障子のような柔らかな明るさを内部にもたらし、少ない部材で大きなスパンを飛ばし開放的な空間を実現でき、昼光などの自然エネルギーの活用に適しています。
膜構造の特徴のイメージ

膜構造用フィルム

上記膜材料のような“基布”を持たない樹脂性のフィルム材料も膜構造建築物に使用することができます。(2017年(平成29年)6月の告示改正により使用可能となりました。)現在、一般的な確認申請手続きのみで使用できるものは、エチレン‐四ふっ化エチレン共重合樹脂(Ethylene / Tetra Fluoro Ethylene = ETFE)製のフイルムで、厚さ100μm(0.1mm)以上のものとなります。ETFEフィルムは、光線透過率95%以上という高い透光性(透明性)に加え、屋外で20年以上使用可能な耐候性を持ち、高い耐熱性も有するなど、優れた特徴を持っています。ETFEフィルムを用いた膜構造には、袋状にしたフィルム内部の空気圧を高めることによりフィルムに張力を導入する『クッション方式』と、一般的な膜材料と同様にフィルムの端部を直接引張ることにより張力を導入する『テンション方式』があります。