円形張力膜における主応力線とその方向角について

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発行年 2007年
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タイトル 円形張力膜における主応力線とその方向角について
著者 岩佐貴文、秋田剛
概要 張力場を仮定した薄膜の主応力線とその方向角を検討するために、シェル理論、膜理論ならびに張力場理論に基づく幾何学的非線形有限要素解析を行った。解析モデルは、円形膜の中央に設置した回転軸を反時計周りに回転させた際に生じるリンクリング現象である。シェル理論に基づく解析により、回転軸直近の膜面ではリンクルに伴う面外変位が幾何学的に拘束されることによって、通常の膜理論で得られる平面応力場と類似した応力場が生成されることを示した。これにより、実際の薄膜の主応力線は回転軸近傍で急激に変化し、主応力比(最小主応力/最大主応力)が零となる領域でのみ直線となることを明らかにした。張力場を仮定した薄膜は、圧縮応力を負担しないために全てのリンクル領域内の主応力線が必ず直線となる。そのため、回転軸近傍で急激に変化する主応力線とその方向角を予測することができず、実際の薄膜で主応力線が直線に漸近する領域においても、回転軸近傍の応力場の影響で主応力線方向角を正確に求めることができない。